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「世界が10人の村だったら」きっとこうかなベーシックインカム

Twitterでも書いたけど、東浩紀氏の【ニコニコ動画】東無双@民主主義2.0
氏の事はこの動画で初めて知ったんだけど、面白すぎます(笑)

で、社会資本という言葉を前回書いたのだけれど、よくある比喩で「世界が10人の村だったら」ってので例えてみる。

この村では10人それぞれが、農業をやったり、漁師をやったり、狩をしたり、服屋をやったり、大工をやったり、教師として勉強を子供に教えたり、村長をしたり、吟遊詩人だったりして、分業をしてみながそれぞれの役割を受け持って成り立っていました。

貨幣経済も今の僕達と同じように有って、農家の人は麦を売ってお金をもらい、そのお金で服や肉を買ったり、大工さんに家の修理をしてもらったり、時には夕餉に吟遊詩人を呼んで歌ってもらったり、税金を払って村長さんにルールを作ってもらったりしていました。
もちろん他の職業の人達もそのようにして生活を営んでいました。それ程物質的に豊かでは無かったかもしれませんが、それなりに幸せでした。

そんな村で何世代も人々は自分のしたい仕事をしたり、成り手が必要な職業を選択して皆の必要を満たしたりしてうまくまわっていたのですが、あるときにこの村に「科学者」というそれまで無かった職業の人が生まれました。

「科学者」は、いったい何をしていたのかというと、彼は昔近所にいた大変な発明家から、あるアイディアを聞いていたのです。不幸にもその発明家は志半ばで死んでしまったのですが、彼はそのアイディアを元にして、なんと「ロボット」という人間の変わりになんでもしてくれる機械を作りだしたのです。

でも、この「ロボット」は、作るのにとても専門的な知識が必要だったので、作れるのはその「科学者」だけでした。「科学者」は、その作り方は難しすぎて皆に教える事は出来無いと考えたので、自分だけで「ロボット」を作って、それを皆に売る事を考えました。

他の皆は、最初はその「ロボット」がどういうものかよく解らなかったのですが、農家の人が科学者から
「このロボットを使えば、君が働かなくても、変わりに農作業をしてくれるよ。そしたら君は毎日ロボットに、麦の種を植えろ! とか 水をやれ! とか収穫をしろ! と言うだけで、つまり監督しているだけで麦が作れるよ。そしたら君は今よりももっと楽が出来るし、今よりももっと沢山の麦が作れるようになるよ。どうだい? このロボットを買わないかい? 値段は1万クレジットだ。」
と言われて、そりゃ便利だ、と思って、無理をしてロボットを買ってみました。すると、まさに科学者の言う通りにロボットは自分の変わりに、自分よりもみごとに農作業をしてくれたのです!!

この噂は、他の職業の人達にもすぐに広まりました。

そして、科学者と村長さんと教師以外の全ての人達が、我も我もとロボットを買いました。科学者は7人から7万クレジットの大金を得て大満足です。でも、
「これは素晴しい商売だった。でももう売る人がいなくなっちゃったからこの先は僕の仕事は無くなっちゃったなぁ。このお金で倹約して老後に供えなければ。」
と思っていたのです。

ロボットは疲れる事も知らないし、力は人間よりも何十倍も強く、服や家を作る速さも、船を漕ぐ速さや走って獲物を取る速さも、人間とはとてもとても比べ物にならない位優れていたのです。なので、ロボットを買った全ての人達が、それまで自分でしていた仕事の何十倍もの仕事が出来るようになったので、この村は食べ物も有り余る程になり、家も立派になり、服もとても毎日着ても着きれない程を皆が持ち、それまでとは比べ物にならない位村は豊かになり、人々も仕事に疲れはてる事も無くなりました。

そうです、ロボットが出来た事によって、皆がそれまでよりも物質的に「豊か」になれたのです。

でも、村長さんと教師はロボットを買いませんでした。なぜなら、村長さんの仕事は、皆の間の色々な揉め事を解決したり、収穫の御祭を企画したり、結婚式の挨拶をしたりという、人間にしか出来無い仕事だったし、教師のように人に物事を教える事もロボットには無理だったからです。ロボットは、そのような自分で考たり、教えたりする仕事の代わりは、さすがに出来無かったのです。

さて、もう一生の間にするべき仕事をやってしまった、と思っていた科学者は、日々7万クレジットをちょっとづつ使って生計を立てていました。日々する事ももう思いつかず、虚しい日々を送っていたのです。皆が幸せになったのを尻目に、自分は鬱々とした日々を送っていました。

しかし、ある日村で問題が起きました。農家のロボットが、あまりに農作業に酷使されたので、なんと壊れて動かなくなってしまったのです!!

農家は困りました。
「どうしよう。ロボットは壊れてしまった。また自分で農作業をしなければいけないのだろうか? 麦も自分だけではロボットみたいには作れないし、そうするととても貧乏になってしまう…
…そうだ!! 麦で儲けたお金で、又科学者にロボットを作ってもらえないだろうか? 科学者は仕事が無くなったと嘆いていたので、喜んでやってくれるに違い無い!!」

農家はすぐに科学者の処に行ってこう言いました。
「科学者さん! 僕のロボットが壊れてしまったんだ。又1万クレジット払うからロボットをもう一つ作ってもらえないだろうか?」

科学者はびっくりしました。そして、とても喜びました。
「そうか!! ロボットは壊れてしまうんだ!!そしたら又僕が作ってあげれば、僕にも又仕事が出来るじゃないか。分った、明日1万クレジットを持ってきてくれ。そしたら又ロボットを君に売ってあげよう。」
農家は言いました。
「有難う。じゃぁ麦を売ったお金から1万クレジットを明日もってくるよ。君も仕事が出来て嬉しいようだし、きっと他の仕事の人達のロボットも、いつか壊れてしまうだろう。そしたら又、君もずっと仕事が無くなる事は無いさ。」

その夜、科学者は久しぶりにとてもはりきってロボットを作っていました。
そして、夜中になって、少し疲れたので休憩している時に、ふと思いました。
「まてよ、何もこのロボットをわざわざ農家に売らなくても、僕が直接作ったロボットに、麦を植えろ! と言ってしまって、そして出来た麦を毎年売れば、僕には1万クレジットよりも、もっともっとたくさんのお金が入る。そうか!! その方が僕は儲かるぞ!! 何も農家に売ってやる事は無いんだ。そうだ、そうしよう。」

次の朝、農家が約束通り1万クレジットを持って科学者の家に来ていいました。
「科学者さん、約束通り1万クレジットを持ってきたよ。ロボットは出来ているかい?」
科学者は言いました。
「悪いけど、ロボットはもう売らない事にしたよ。1万クレジットも持って帰ってくれ。僕はこのロボットで自分で麦を作る。何故なら、その方が1万クレジットより儲かるって事が分ったからね。君は今迄通り、自分の手で麦を作ってくれ。でも、僕のロボットの方が何十倍も麦が作れるから、僕の方が全然金持ちになれるけどね。」

農家はびっくりして怒りましたが、ロボットは科学者しか作る事は出来無かったので、泣く泣く諦めて帰りました。そして、昔通りの手作業で麦を作りました。でも、科学者が言うように、ロボットが作る麦の何十分の一しか麦は収穫出来ませんでした。

その間に、狩人のも、漁師のも、服屋のも、大工のも、吟遊詩人のも(このロボットは歌も歌えたのです!!)、ロボットは壊れてしまいました。そして、やはり農家の時のように、科学者はそれらの仕事を独り占めしようとして、新しいロボットを彼等には決っして売りませんでした。

皆は昔通りに自分の体を使って仕事をしました。しかし、ロボットよりも全然効率が悪かったので、ロボットを所有していた頃に比べて、収入はとても減って貧乏になってしまいました。

科学者のロボットが作る麦は、とても効率良く農作業が出来るおかげで、値段をとても安くできました。農家が手作業で作った麦も、その値段に合わせなければいけなくなったので、更に更に農家は貧乏になってしまいました。そうです。この村にロボットが表れる前よりも貧乏になってしまったのです!!
それは、狩人も服屋も大工も皆同じでした。皆貧乏になりました。

みなは貧乏になったので、日々の生活にも困るようになりました。物価は前よりも安いのですが、収入がそれ以上に減ってしまったからです。

しょうがないので、村人は科学者の家に行って、こう言いました。
「科学者さん、僕達はもうあなたに太刀打ち出来ません。もう僕達は今の仕事を続けていく事は出来なくなりました。ですから、お願いですから、科学者さんの所で雇ってもらえませんか?」
科学者は、言いました。
「そうか。確かに僕も、全ての仕事のロボットを監督するのは骨が折れる。分った。では、明日から君達を雇おう。そして、それぞれ前にしていた仕事の現場でロボットを監督してもらおう。但し、君達を雇うのは、君達が頼んできたからだ。僕は君達抜きでも仕事は出来る。ただ、ちょっと楽になるから雇ってやるんだ。だから、安い給料でも文句は言うなよ?」
皆は不承不承言いました。
「分りました。しょうがありません。僕達にはもはや選択肢は無いのです。ですから、生きていく為の最低限のお金で結構です。」

そうして、皆は昔の仕事を辞めて、ロボットを監督する仕事に就きました。背に腹は替えられません。安い給料でのかつかつの生活に甘んじたのです。

しかし皆は、どこかで合点がいきません。でも、その気持をうまく言葉には出来ませんでした。しかし、日々の生活は、ロボットが来る前よりも過酷になり、そしていつしか、村から笑いが消えていきました。

そして、年月がたちましたが、村人達の生活は苦しくなる一方です。給料はなんとどんどん下がってしまいました。でも、彼等には選択肢は無いのです。

しかし、ほとほと困りはてて、とうとう皆で村長さんに相談に行く事になりました。

「村長さん、ロボットが出来たおかげで僕達はとてもとても貧乏になってしまった。なんとか村長さんの力で、科学者がロボットを独り占めするのを辞めさせられないだろうか?」
村長さんは言いました。
「うーん、彼は彼の力でロボットを作っているんだから、それを辞めろ! という訳にはいかない。彼にはロボットを作る自由が有るし、自分の作ったロボットを誰に売るかというのも、これも彼の自由だと思うんだ。それが資本主義というもので、自由な社会だと思うんだよ。」
「でも、実際に科学者以外の僕達皆が不幸せになった。社会というものは、皆が幸せになる為にあるんじゃぁないのかい? 村長さん」
「でも、彼は自分の能力で仕事をしているんだ。文句のつけようは無いだろう。」

そこで大工がある事を思い出しました。
「科学者の家は僕が昔作ったんだけれども、家を作っていた時に科学者は言っていたんだ。どうしてロボットが作れたかをね。やつが言うには、死んでしまった近所の発明家のアイディアが有ったからロボットを作れたと言うんだ。でも、それってずるくないかい? だってその発明家はもう死んじゃっていて、そのアイディアの持ち主はもういないんだ。でも科学者は、そのアイディアを独り占めして大金持ちになっている。確かにそのアイディアを使ってロボットを作ったのは科学者だ。それがすごい事なのは認めるさ。そして、僕達はそのアイディアを聞いた処で、確かにロボットは作れないだろう。でも、その発明家のアイディアが無ければ、やつもロボットを作れなかったんだ。なのに、そのアイディア自体もやつ一人だけの者だというのはおかしいじゃないか! 」
狩人が言いました。
「そうだな。言われてみれば確かにおかしいぞ。もう、誰のものでもないアイディアを、理解出来るからといって、科学者だけのものだってのは、俺ぁ納得いかねーな。」
漁師も言いました。
「俺が使っている”もやい結び”も、先祖のだれかが考えたもんだ。でも、俺はそれを独り占めしたりなんかしねぇ。ちゃーんと服屋にも教師にも教えてやったよ。だって、それは俺”だけ”のものじゃねえし、ありゃぁ色んな事に役立つからな。それを教師が子供達に教えてくれりゃぁ、その子達が将来仕事をする時に役立つだろうし、その恩恵は皆が受けられるってぇもんだ。」
吟遊詩人も言いました。
「僕が歌っている歌も、自分で作った歌より、ご先祖様が作った歌の方が多いぐらいだ。でも、そのおかげで、自分ではとうてい作れない程のたくさんの歌を僕は歌えるし、皆もたくさんの歌を楽しめているじゃないか。やっぱり大工の言う通りじゃないのかな? 村長さん。」
村長は言いました。
「うん、皆の言う事は私もその通りだと思う。うん、でも大丈夫だ、もうちょっとの辛抱だよ。見ていなさい。科学者は、自分のやっている事がどういう事なのかを知る事になる。皆、もうちょっとだけ辛抱していてごらん。」

皆は納得した訳ではありませんでしたが、その場は、村長さんの言葉に従いました。

さて、そうして、科学者だけが大金持ちで、他の皆が昔よりとても貧乏になってしまってから、さらに年月がたちました。

科学者は、どうも最近あらゆる物の売り上げが、昔程上がらなくなってきた事に気がつきました。
「おかしいな、昔よりも物が売れないのはどういう訳だ? 品物が悪くなった訳でもないし、作ってる量は、ロボットを改良したおかげで、前より多い位なのに…うーん、不思議だ…。このままでは大金持ちではなくなってしまうぞ…」

村長さんは、時は来たと思い、科学者の家を尋ねました。
「科学者さん、村一番の大金持ちの科学者さん、最近の景気はどうかね?」
科学者は言いました。
「うーん、それが村長さん、実は、昔よりも金持ちでは無くなってしまったんだ…」
「え? どういう事だい? あれだけたくさんの物を売っていれば、もう私達には創造もつかない位の大金持ちになっているのではないかね?」
「それが、最初こそ信じられない位の売上だったんだが、だんだん年月がたつ程、売上がどんどん減っていってしまったんだ。」
「ふーん、成程…。うん、科学者さん、私にはその理由が分かる気がするんだけどね。」
「え! さすが、村長さんだ。僕にもさっぱり分らないこの事の原因を教えてくれないかな!」
「それはきっと、こういう事なんだよ。君は確かに、それまでに無い程の便利な「ロボット」というものを作った。そして、それによって、殆ど全てといっていいぐらいの「物」を君の所”だけ”で作るようになった。でもどうだい。今や君の作る物を買うものは殆どいなくなってしまった。何故か分るかい? それは、殆どの物を作る事によって商品は出来たさ。でも、商品は買ってくれるお客さんがいて、初めて商売になるんだ。そして、君がほとんど全ての商品を独占してしまったから、君以外の全ての人々がもう殆ど「お金」を持っていないんだ。そりゃぁ最初は皆まだ蓄えが有ったから売れもしたさ。でも、もうそれも底を着いちまったんだ。もはや、皆は必要な物をお互いに融通しあう事によって、かろうじて生活をしている。余分な物なんか、とてもじゃないけど買ってる余裕なんか無くなってしまったんだよ。」
科学者は打ち拉がれたように言いました。
「そうか…。僕が全てのお金を持ってしまったんだ。だから、もう誰も買う為のお金を持っている者がいなくなってしまったのか…」
村長は諭すように言いました。
「君は確かに立派だ。発明家のアイディアから、誰も真似出来ないようなロボットを作った。それは良い事だ。だって村を物で豊かにしたし、皆を血の滲むような労働から開放したんだ。でも、君は自分だけでこれが出来たと思ってしまって、そのロボットからの利益を独り占めにした。そして、最後は自分の商売も、独占する事によって自滅させてしまったんだ。本当は、その発明家のアイディアは皆のものだったんだ。”もやい結び”が皆のもののようにね。君に儲けるなとは言わないよ。自分の”仕事”の分を自分で得るのはいい。でも、その発明家の取り分は、君が受け取るべきじゃなかったんじゃないのかな? 皆に分けてあげるべきなんじゃぁないか? 何故なら、それはもう、”誰のものでも無い”んだから。」
「…うん、そうかもしれない。そうすれば、皆にもお金が回って、又僕の商品も売れるようになる。そして、僕だけじゃなく、皆も発明家のアイディアの恩恵を享受出来るようになって、皆が幸せになる事が出来るのか…」
「そうだ。だから、君がその発明家のアイディアの分だと思うお金を、僕に預けなさい。そうすれば、僕が、村人全員に、公平にそれを分けてあげるよ。」

翌日、村長さんは、科学者から預かった「発明家のアイディア」分のお金を、皆に配りました。

そして村人達は、とても、とっても幸せになりましたとさ。

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カテゴリー:社会システム
  1. XrSHY !
    2009/11/19 17:51

    「カンボジアとポルポト政権」について研究なさる事をお勧めします。

    誰が誰から援助を受けて権力を握ったのか、誰のどのような目的でどのような事を行い、その結果どのようになったか。
    そういった歴史の前例が日本にどのような形で影響を与える可能性があるのか。

    さらに、その情報を提供してくれた国はどこで、どのような主義を持ち、目的を有するのか。
    それによるバイアスと自身の結論に与える影響はどの程度か。

    ベーシック・インカムのような戯言を語る前に、きっちりと頭の中に入れておくべき事があるはずです。

  1. 2009/11/21 04:16
  2. 2009/11/21 10:14
  3. 2009/11/26 04:54

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